日頃から何十足、何百足と靴に触れていると、
稀に「お、なんだこれは?」と、手に取って思わず見入ってしまうことがあります。

例えばこの靴。
イタリア靴の至宝、「ステファノ ベーメル」

オールソール交換で持ち込まれたこの靴。
アッパーの脇の部分に目を向けてみると、あまり見かけないステッチが施されています。

ん? グッドイヤー?? それともノルベジェーゼ???
そもそも修理出来るの??
外観だけではなんとも言えないので、恐る恐るソールを解体してみる事にします。

中を開いて見ると、やはり違和感。

この靴、一見ハンドソーンのような作りですが、
なぜか2列に渡ってアッパーと中底が縫われています。

本来であればグッドイヤーやハンドソーンの製法は中底とウエルトがアッパーを介して1列に縫われているのが通常ですが、

この靴はなぜか2列に渡ってステッチが施されています。
何故?

おそらく1列目の飾りのステッチは手縫いで施されているのだと思いますが、
なぜこんな手間をかけた事をしているのでしょう?
手間をかけ、謎めいた部分が付随しているのがこの靴の1番の特徴なのでしょうか。。

(今回はオールソールAプランで修理しました)
このように稀ではありますが、時々見たことない作りの靴に出くわす事があります。

続いて、ユニオンワークスでは御馴染みイギリスのチャーチ!

この靴はキャップが施された靴なのですが、
チャーチでキャップトウと言えばこのブログでも何度も登場してます「コンサル」が思い浮かびますが・・

しかし、普段見ている「コンサル」とはどこか少し違和感があったので
この靴をお持ち込み頂いたお客様訪ねてみると、この靴はどうやら「コンサル」ではなく、
「サルグレイブ」というモデル名らしいでのです。
サルグレイブ??

ライニングにも確かに "Sulgrave" の表記がありました。
その後ネットなどで調べてみたのですが、「チャーチ サルグレイブ」ではヒットせず・・
サルグレイブという地名はあるようなのですが、それらしい靴はでてきませんでした。

色々調べてみるとチャーチのモデルには旧名称があるようです。
コンサル → 旧名「オズボーン」
ディプロマット → 旧名「ハイグローブ」
しかし、どこを調べても「”サルグレイブ”」の該当するものは見当たらず・・・。
これも迷宮入り・・・・
(詳しい方いらっしゃったらご一報を☆)

ちなみにこの靴の裏はこんな感じでした。

大きくオークバークの文字。。

(今回はヴィンテージスチールを装着)
この靴をお持ち込み頂いたお客様曰く
20年ほど前にアンティークショップで購入して
その後押し入れの中に眠っていたんだとか。。
まだまだ世の中知らない靴が出回っているんですね。
勉強になりました。
また何か珍しい靴を見つける機会があったらご紹介したいと思います。
( BENCH MARK 馬場 )